二度目となる個展「YAWN」を3月31日(金)より開催

 

この度ENAとして約一年振りとなる二度目の個展「YAWN」を、東京・渋谷区富ヶ谷にあるクリエイティブスタジオCONTRASTにて、3月31日(金)から4月8日(土)まで開催致します。
前回の展示で発表したポートレート作品f_a_c_eシリーズに加え、新作YAWNシリーズの発表となります。
「YAWN」では、日常生活のなかで誰もが経験した事がある動作の“あくび“をテーマにし、あくび伝染の研究者である医療創生大学心理学部の大原貴弘教授にご協力いただき、それぞれの立場から意見を交わし、”あくび”に 対する考察を深めています。
また「f_a_c_e」同様、他者への「影響力が高い記号」である“顔の表情“を敢えて除き、”あくびのある情景”を様々なマテリアルや技法で試みています。

 

 

アーティスト ステートメント

世界中の生活が変わったこの状況下で日常と向き合った時に、ある日のバス車内で目にしたあの光景をふと思い出した。

初めに子供の“あくび”がお母さんに移り、次にその近くにいたおじいさんへと移っていった。

見知らぬ者同士があくびで無意識に繋がる光景を目にし、この動作がある種の共感作用のように感じられ、またバス車内が一つの世界に感じた。

実際にこのような状況を目にし、体験したことがある人は多いのではないだろうか。

一般的に眠たい時の象徴とされている“あくび“だが、「緊張感が解き放たれ、身も心も解放された時に起こる」 とも言われている。

日常的な動作なのにも関わらず、未だに生物学的な役割は完全には解明されていない。 年齢や性別、肩書き、人種、宗教、および社会のヒエラルキーをも超えて、さらには人に限らず鳥類や爬虫類など一部の生物にも同じ様に起こる”あくび”。

他社から他社へと移り行くその連鎖は、幸福の連鎖でもあるように思える。

こんなにも身近で、生きている事で他者と繋がっていける共感作用のある動作は、今判明している以上に、可能性を秘めているのではないかと考える。

 

 

■医療創生大学心理学部 大原貴弘教授の言葉

SNSの普及や感染症の拡大とともに、人と人との関わりは大きく変化し続けている。
ENAが表現するのは、そんな時代の流れのなかに佇み移ろう人たち。
周りとの関係性や役割に応じて、人々はそのつど異なる顔(ペルソナ)を見せる。
その面影の移ろいは、SNSの出現により、さらに複雑多様になってきている。
ENAは近作「f_a_c_e」シリーズにおいて、そんな時代のなかでの「見せる自分」「見られる自分」「見せたい自分」 「見られたくない自分」が持つ「色」が、移ろいながら、混じり合い重なり合うさまを、肖像画の顔の上にマーブリングを重ねることで表現してきた。
そして、人との接触がためらわれるようになった時代のなかで、ENAが新作のテーマとして注目したのは「あくび(Yawn)」。
あくびは、日常生活のなかで誰もがする何気ない仕草だけれど、実はその機能と機序は奥深い。
覚醒と睡眠のはざまや、興奮と退屈のはざまなど、身体と心の状態が移り変わるときに、あくびは生じるという。 そして、身体と心が移りゆくなかで生まれるあくびは、さらに人と人との間でも伝染りゆく。
年齢や 性別、肩書き、人種、宗教、人々を区別する様々な境界を超えて、あくびは伝染してゆく。
ついあくびが移ってしまい、移った人と移した人、それを見ていた人たちの間に静かな一体感が生まれ、互いの心が混じり合ってゆく。
感染が警戒される時代、伝染を通して人と人とが一つになれる生理現象に、あらためて注目してみてもいいのではないだろうか。
あくびをテーマにしたENAの新作「YAWN」では、あくびそのものが直接的に表現されるわけではない。
あくびに伴うかすかな声や空気の揺れ、手足を伸ばしたときの筋肉のハリや布擦れの音、あくびを誘うおだやかな陽光や暖かい外気。
そんなあくびの「気配」や「断片」を通して、ENAは平穏な時間を重なり合わせてゆく。

 

 

INFORMATION

  • ENA Solo Exhibition 「YAWN」
  • 会期:2023年3月31日(金)~4月8日(土)開館時間:11:00〜20:00  ※最終日18:00まで
  • 会場:CONTRAST
  • 住所:東京都渋谷区富ケ谷1-49-4
  • アクセス:東京メトロ千代田線代々木公園駅1番出口より徒歩1分、小田急小田原線代々木八幡駅南口より徒歩2分
  • 観覧料:無料
  • supported by IN FOCUS inc. / zaigoo.inc / TORUS,inc.